「歌舞伎は敷居が高い」と言われる原因のひとつが、高額なチケット代金にあるかと思います。そもそもプロの生の舞台は、歌舞伎に限らず、オペラやミュージカル、お芝居でも、5000円前後、それ以上の設定がされていることがほとんどではないでしょうか。
しかし、できれば、少しでも安く観劇できる方法があれば、と感じる人も多いかと思います。ここでは、少しでもチケット代を安く手に入れる方法について、ご紹介したいと思います。
お得なチケットの取り方についてはこちらの記事でも解説しています。合わせてご覧ください。
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歌舞伎座のチケットでも4000円で買える?
歌舞伎のチケットは、だいたい1万円以上する、と思われています。しかし、歌舞伎座など大きな劇場になるほど、座席のクラスが細かく分かれています。
たとえば、歌舞伎座を例に挙げると、一番高い座席クラスは「一階桟敷席」で、2万円ほどします。こちらは、テーブルにお茶のセットやおしぼりが置いてある、特別なお席です。
1階前方から「1等席」が始まり、3階の「3等席」まで5クラスほどあり、1808席が設置されています。3階席は通路を挟んで、前方が「3階A席」で6000円ほど、後方が「3階B席」で、4000円ほどで観劇できます。
歌舞伎座正規の価格でも、4000円くらいから購入できるのです。当然ですが3階ですので、ステージからは遠くなり、花道もほとんど見切れてしまいますので、オペラグラスは必須です。
歌舞伎座のお席の種類についてはこちらの記事で詳しく解説しています。よろしければご参照ください。
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しかし、テレビでは味わうことのできない、役者の生の声やその場の空気、臨場感は、クラスに関係なく体感できます。歌舞伎座の広い舞台全体を、ひと目で見渡すことができるので、様式美としての歌舞伎を、一枚の美しい絵のように感じることもできるのではないでしょうか。
それでも、もっと安く観劇したい方には、「一幕見」というチケットがあります。これは、一幕ごとに販売される当日券で、1000円前後から販売されます。
歌舞伎座の幕見席は4階にあり、チケット購入場所や入場口も異なります。人気の公演では長い列ができて、購入まで何時間も待つことが予想されます。全席自由席なので、立見になる場合もあります。
歌舞伎座の幕見席は、通常で椅子席約90名、立見約60名の定員となっていますが、「宙乗り」の演出がある公演では、大幅に減ります。
幕見席については、いろいろなルールがありますので、購入前に「歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人」でチェックしておくと便利です。幕見席の有無は、劇場ごとに異なります。
歌舞伎のチケットを、お得に入手する方法がある?
歌舞伎を近くで観ようとすると、やはりチケット代は高額になってきます。できればお得に購入できるとありがたい、と思う方もいらっしゃると思います。
そんな方におすすめなのが、国立劇場で上演される歌舞伎です。国立劇場は、若い世代にも日本の伝統芸能に親しんでもらう目的として、文化庁や公共団体の支援のもと、毎年、「歌舞伎鑑賞教室」というのを上演しています。
国立劇場公式サイト
https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html
年2回ほど予定されており、社会人個人であれば、1等席(1、2階)4000円、2等席(3階)1800円で観劇できます。さらに、上演時間も2時間ほどと短く、学生は全席1500円で観劇できるので、歌舞伎初心者にはありがたいシステムですね。
もうひとつ、「公益財団法人 都民劇場」の「都民半額観劇会」に応募する方法もあります。演劇人口の拡大と、演劇界の活性化を図る目的で、東京都と公益財団法人3社の共催で運営されています。募集の時期になると、東京都の広報誌やHPに掲載されるので、チェックしてみるといいかもしれません。
都民劇場公式サイト
http://www.tomin-gekijo.or.jp/
応募は、現在のところハガキでの抽選となっています。お席は選べませんが、歌舞伎座1等席を9500円(手数料込)で手に入れることができます。ただし、平均倍率は5倍ほどとのことで、なかなか狭き門のようです。
歌舞伎座公式では、株主優待や法人向けのサービスなどがあるようです。
歌舞伎のチケットをもっと簡単に入手する方法はないの?
もっと簡単に、お得にチケットを購入できる方法といえば、チケット売買サイトや金券ショップなどがあります。しかし、松竹に限らずですが、基本的にはチケットの転売は認可されていません。
チケットを購入したものの、どうしても行けなくなってしまった方には、救済になり得ます。しかし、購入側はその状況が、真実であるかは不明です。実は盗難チケットであったり、思わぬトラブルに巻き込まれることにもなりかねません。
転売チケットで何かトラブルが起こった際は、劇場側でも対応が難しいため、自己責任で購入することを肝に銘じておいた方が良いでしょう。
歌舞伎のチケットが高額なワケ
毎日が真剣勝負の舞台は、映画やテレビとは違う臨場感を、ダイレクトに感じることができるエンターテインメントと言えます。
毎公演、舞台に集中する、役者の魂が込められていると言っても過言ではないかもしれません。ひとつの公演に出演する役者、大道具・小道具・衣裳・音響などの裏方、表方で働く方がたも、大変な時間も労しています。
多くの人々の思いで出来上がった舞台を、一緒に体感し、その時間だけは、“非日常”を感じてもらうために劇場があると言う人もいます。
そうそう毎回、足を運ぶことは難しいですが、たまには豪華な非日常感にちょっとだけ触れることで、世界観が広がるかもしれません。