歌舞伎の上演時間は、場所や公演内容にもよって異なります。では、歌舞伎座では、通常どのくらいの時間で上演されるのでしょうか?
ここでは、歌舞伎の上演時間について、迫ってみたいと思います。
江戸時代の歌舞伎は、1日中だった?
歌舞伎は、昔は1日かけて1本を上演していました。物語の発端「序幕」から、最終幕の「大切」まで通した「通し狂言」です。現在では、上演時間の関係から、全幕通して上演することは難しくなりました。そこで、物語の一部を省略したものでも、便宜上「通し狂言」と呼ぶようになっています。
江戸時代中期頃から、歌舞伎の上演形式に変化が出てきたそうです。初演は、1日通して全幕を上演し、再演からは、その物語の、特定の場面だけを抜いて上演する「ミドリ狂言」が行われるようになりました。
同じく、他の演目からも特定の場所を抜き出して、1日にいくつもの作品を少しずつ並べて上演する、現代のような形式となったそうです。「よりどり見どり」から発した意で、「みどり」狂言と呼ばれています。
現在の歌舞伎は、どのくらいの時間を予定しておけば良い?
現在は、通常、昼の部と夜の部に分かれた「二部制」が主流で、「一部」が約4時間以上かけて上演されます。(最近では稀に「三部制」もあります)ミュージカル公演などと比べると、長いですよね。昼の部・夜の部ともに、3幕~4幕で構成されるタイプが多く見られます。
一幕目に「時代物」、二幕目に「松羽目物」、三幕目に「世話物」というパターンが多いかもしれません。他に、昼の部3幕で、夜の部は「通し狂言」という、どちらかの部に「通し狂言」が入る場合もあります。
開演時間は、昼の部は11時が王道で、夜の部は16時か16時半に開演となることが多いです。昼の部の終演時間は、だいたい15時半を過ぎるくらいですので、夜の部のお客様との入れ替え時間は、結構タイトです。夜の部の終演時間は、約21時前後となります。
たまに、昼夜通しで観劇される方がいらっしゃいますが、本当に、丸一日かけて歌舞伎を堪能する、という感じです。歌舞伎好きにはたまらない、最高に贅沢な一日ですね。
歌舞伎の、一幕の上演時間は?
そして、一幕がだいたいどのくらいの時間か、という問題ですが、目安を出すのも難しいほど多様です。一番短いのはおそらく舞踊で、一幕20分くらいのものからあります。ただし舞踊でも『京鹿子娘道成寺』などは90分近くあります。
「時代物」、「世話物」は、だいたい1時間ほどと言えなくもありませんが、『歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜』などは、一幕で2時間あり、途中休憩はありません。『助六』は、襲名披露公演でも上演されることのある大作ですので、途中で席を立つことのないように、開演前に備えておくことをおすすめします。
長時間の観劇だけど、休憩は入るの?
幕と幕の間に、休憩が入ります。「幕間(まくあい)」です。昼の部では、一幕目の後の幕間が30分ほどあり、ここで食事をとります。その後の幕間は10~20分ほどで、お手洗いに行ったり、お土産を見たりするのに良い時間です。
夜の部でも、やはり30分前後の幕間に、食事をとったり、おやつを食べたりされる方が多いです。歌舞伎座では、ドリンクコーナーで、スパークリングワインも販売されており、ちょっと贅沢な雰囲気を嗜む方もいらっしゃるようです。
お食事やお弁当の予約につきましてはこちらの記事をご覧ください。
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席に着く前に、当日の上演時間の確認をおすすめ
歌舞伎は、初日前日までは、一応の上演時間しかわからない、といっても過言ではありません。ぎりぎりまでお稽古があり、演出が途中で変わることもあるために、はっきりした時間が読めないのです。
お稽古で、おおよその時間を計ることはできますが、実際に初日が開いてみると、10分前後、巻いたり押したり…ということも多々あります。歌舞伎座公式のホームページ上でも、上演時間の掲示はありますが、特に初日あたりは、終演時間には余裕を持って考えておいた方が無難です。
歌舞伎座場内にも、幕ごとの上演時間が貼り出してありますので、お席に着く前に、目を通しておくといいかもしれません。場内を見て回ったり、お土産を買ったり、半日かけて、贅沢な非日常をたっぷりと楽しんでほしいと思います。
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